さらば童貞の光

生まれてこの方、ホタルというものを見たことがない。
「東京 ホタル」でググってみたらちょうど今日、朝霞あたりの公園で養殖ホタルの放流をするらしいので行ってみることにした。
公園に着くと、人の山。
カップルがキャッキャウフフしてやがる。地獄に堕ちろ。
「最後尾」のパネルをおっさんがだるそうに持っていて、背伸びして行列の先をみると、人がぞろぞろとドーム状に張られたテントみたいなのに吸い込まれている。
こんなエレクトリカルパレードでホタル童貞を喪失してたまるか!と、会場を後にして秩父へ向かう。
着いたのが22時。ホタルが発光するのは21時まで。遅い。終わってる。
1匹くらい狂い光りがいるだろうと、バイクを停めて生息地まで農道を歩く。
ギャー!
突然、手の平大の得体のしれないクリーチャーがライトに照らされて眼前に現れ、叫ぶ。
走って逃げた後は、射精後の喪失感によく似たむなしさ。
めげずに歩を進めると「ホタル生息地」の看板が。
だが真っ暗。何もいねえ。
ライトを消してびくびくしながら粘ってると、ちらほら光ってるのが見えた。
たまに一匹だけ必死こいてぴかぴかしている奴がいる。
ああ、この童貞ホタルはメスに構ってほしくて必死なんだなぁと思うと、妙に親近感が湧いた。
初めて見るホタルにさほど感動はなかったが、なかなかきれいではあった。


ふと、中学の修学旅行で旅館の非常用懐中電灯をケツにはさんで「夜光虫〜」って舞い踊っていた友人のことを思い出した。
ちなみにそいつは、全くモテない。