冬将軍はてごわい

冬とかきらいです。
便座は冷たいし、走ると暑いのか寒いのか頭痛いのかよくわからない感じになるし。
ロシア人の遠い目は、きっと寒さにやられたに違いない。
寒いというのは辛いことです。
冬にいいことなんて、ひとつもありません。一月生まれが言うのだから、確かです。
タクシーの運ちゃんに、公園の水鳥たちは池が凍ったらどこへ行くのか、とかバカな質問をしたい気分です。

岸歯科医師その2

君は右上んとこの糸きり歯がのうなっとろうが。男はな、この歯がないと力が出んとぞ。キンタマ取られたのといっしょたい。今日はここも一緒にやるけんな。


東京なあ、懐かしか。中野警察署、な。
・・おれは前科もんやけんな、ホラ、いま裁判員制度ちゅうのがあろうが。あれになる資格がなかったい。
でもおれはそのほうがよか。他人を裁いて後悔した奴をおれはたくさん知っとう。
昔、運動がありよったろうが。全学連全共闘。よってたかって、大学の教授ば、つるし上げにしてからな・・
皆、若かったったい。雰囲気に流されてしもうて。
そいで、後になってから、みんな後悔して死んでいきよったったい。薬ばのんだり、首くくったりしとるったいね。死ぬ前に奥さんに、あんなことせんどきゃよかったって漏らしてからくさ。
やけん、おれは人を裁きとうなか。人が人を裁くってのは、どだい無理のある話よ。


よし、うがいして。
君はね、お母さんに感謝せないかんとぞ。歯の神経が人一倍太かったい。小さい頃から歯ごたえのあるもんば、ちゃんと食わせてもろうとったっちゃろうね。
おうい、君も見てみ。いま取ったこのコの神経。


お姉さん: 「うげぇー」




ですって。